母との関係
書き留めておこうと思う。
母とのこと。
母は、私のことを可愛がらなかった。母自身それを認め私にそう言っていた。
「あんたは母親の愛情不足でそうなったんだ。」と。
この言葉をどう受け止めればいい?
そうなったって何?
母の中で私という娘は失敗作でしかなかった。
子育てに失敗したのだと。
現前と生きている人間に対して「失敗作」と全否定していることに
全く気が付かぬ、最悪の人間だ。
小さいときからそのことは感じていたが、成人した後もしつこく言っていた。
私自身このことを言われて、
自分でも「欠陥人間」と思っていたので
やはりそうなのか、とも思ったし、しかしそこでそれを肯定するわけにもいかなかった。
それを肯定すれば、生々しく生きている自分自身の誇りが傷つく。だが、自分の誇りを守れる人間だということは、母の子育ては成功しているとフォローすることになる。
そんなこと、許せない。
あなたの子育ては間違っていなかったよ、というのか?
こんなひどいことを平気で言うような人間にか?
その時点では、自分の人生を積極的に切り開き「善」に向かって精いっぱい生きていた。
だがいつも私の人生に影を落とすのは母だった。
母をもっと早くに捨てればよかった。
自分の人生から追い出せばよかった。
亡くなったとき、理解しがたい感情に見舞われたが、寂しいとは思わなかった。
結局どんなひとなのか分からないまま、分かり合えないままだったな、と感じた。
私は自由になった、はずだった。
だが、歳を重ねるにつれて母の影響はまるで核燃料のように心の奥深くで分裂しエネルギーを放出し続けている。
亡くなってもなお。
なぜ。やめて。もうやめてよ。
幸せになると、母の子育てが成功したようで、絶対に受け入れられない自分。
あなたが失敗作と思っていた通りになってあげるよ、と破滅的に考える自分もいる。
不幸になることで母への復讐を果たしたい。
?
ここに矛盾があり
母は不器用ながらも私を「愛して」いたから、不幸になれば辛いだろうと思っているんだな、私は。
どこまでもマザコンだ。
私が小さいときから母との関係で苦しんでいたことを母は知らない。
母は自分の思う通りに行かないことだけを悔いていて、私を見ていなかった。
褒められた記憶はない。
けなし、何を言っても否定しかしなかった母。私にまつわるものとは徹底して距離を置いた。
自分が辛くなるから。
かくして、私は親からは邪魔者と思われていると感じ、自分というものは誰かの迷惑になるものだという前提で生きる大人となった。
わたしはあなたとは違う。
あなたのたどった人生など、私は踏襲したりしない。
あなたと、あなたの兄弟たちが背負う業のしわ寄せが私に来ていることは気づいている。
それに潰されないそれを越えてやる。
そして私でその連鎖を止めてやる。
次の世代には持ち越さない。
繋げない。
あんたたちが逃げて後ろへ回した厄介ごと、受けてやる
くそ! なんで私がこんな役をやる羽目になるの!!
母はいつも苦しそうだった。幸せそうな記憶はあまりない。いつも愚痴、悪口、不満。
若くして亡くなったが、女性の一生として理想的なモデルとはならなかった。あんな風には生きたくないが、あんな風に死んでいくのだろうと、ネガティブなモデルとなっている。
生きることへの希望を感じられない。
人生って思ったより大変じゃないのよ。
社会は冷たい。圧力は思ったより強い。
負けるもんかと何度も立ち上がるけど、どこかで膝を折ってしまうかもしれない。
自分のフィルターは世間一般の標準よりネガティブで淀んでいるのだろう。
もがきながら、生きて行ける間は生きて行く。
生まれて一番最初に出会う人との関係は一生影響を及ぼす。
傷ついたら強くなれる?
違うと思う。
そんなにタフじゃないよ。
出来うるならば傷つかず、尊厳を失わずに生きてほしい。
優しい人に恵まれて、いい大人の元で生まれ育ってほしい。
強く願う。