ようやく読み切った『わたしを離さないで』
内容が分かってしまうので、知りたくない方は読まないほうが良いと思います。
先日複数の人から、読めずにいたこの本を読み切ることを勧められて、素直に従うことにした。
昨年、この本を買って読み始めてすぐ、苦しくて読むのをやめてしまった。
トミーがからかわれ、みんなにいじめられている最初の部分から、もう駄目だった。
毎回酷い目にあわされるのに、誘われると喜んでそれに乗ってしまう。
そしていつものごとく意地悪されてがっかりし、癇癪を起こす。その様子さえも面白おかしく見物されネタにされる。
そんな日常が物心つく頃から何年も何年も繰り返されている。
いじめられる対象は決まっている。
そのことが私の胸を締め付けた。
昔あった心をえぐられるような出来事を思い出し、トミーと自分を重ねずにはいられなかった。
そんな誘い断ればいいのに。ヘラヘラ輪に加わるのをやめればいいのに。はしゃぐ様子が人をイラつかせるということに気が付け!
外から見ている人はそう思うのだけれど、寄る辺のない人間は誘われれば求められたことがうれしくて行ってしまう。それぐらい危ういところにいるのだ。
たぶん、周囲はそのことを分かっている。分かっていてそれをやるのだ。ほかでの鬱憤を晴らすため、もっと酷いのは無意識で罪悪感もなく何の抵抗もなくやる人間。
だれもトミーを助けない。キャシー以外は。そしてルーシー先生以外は。
もうその最初の数ページのなかでその中の登場人物に対して「許せない」という気持ちでいっぱいになり先に進めなかったのだ。
そんな仕打ちが許されていいはずがない。なぜそんなことをした人間が何の制裁も受けず朗らかに暮らせるのか。誰かに辛いことが偏りすぎている。そんな馬鹿な。
読み進めるうちに、たった一人でも自分自身を認めてくれる信頼できる人がいればそれで人は変われるし、立ち上がれるのだということを知ることになるのだけど、
ほんの一言、気持ちを汲んだ言葉がその後の人生を変えるんだと思うと、自分はずいぶんその辺りを疎かにしてきたように思う。